唐突ですが、皆さんはタックルにどれくらいのお金をかけていますか?
・釣りが至上の趣味でとにかく最上級のものが欲しい。
・最上級とまではいかずとも、実用的なミドルクラスがあればOK。
・安価なものでいいのである程度種類を揃えたい。等々人の数だけ考えがあります。
では、最近のタックル事情はどうなっているのでしょうか?
ズバリ、安価で使えるタックルが市場では求められ且つそれが売れている。ということが起きています。
なぜなのでしょうか?
タックルの進化
まずひとつ、最近のタックルは安価なものでも一昔前のミドルクラスと同等の性能をもつようになったことが挙げられます。
例えば、リールでいうとシマノのバスワンXT。これは一昔前のスコーピオンレベルといってもいいでしょう(それは言い過ぎだとか言わないで 笑)。
他、アブなら今年リリースされたスーペリア。この辺は明らかに技術の進歩で低価格・高品質のオーバースペックになっています。ダイワだとブレイゾンがそのあたりかと。
中・高価格帯にしかなかった特性や仕様を下位モデルに移植すると自ずと性能が上がりますよね。高級機の技術や特性が下位モデルで体感できてしまう・・・ちょっと有難みがないような気がしますが。
ではなぜメーカーはそのようなことをするのでしょう?
「核」となる自社製品
結局は流行やブームが短いスパンで入れ替わるご時世。メーカーは自社の「核」となる製品が欲しいのです。この「核」となる製品というのは、小売店や問屋が定期的に注文を入れてくれる商品のことです。いわゆる店の定番ですね。一定の利益がとれて回転も良い。これが中・高価格帯になると回転が悪く、定期的な注文も見込めない。となると、上位モデルの技術を下位モデルに移植すればスペック上の性能は一緒になるわけです。
ただ、下位モデルは形こそ似ているものの本来の性能(例えば強度など)はどうしても劣りますよね。それで、不満がでてきたら上位モデルを買ってくださいねとなるわけですよ。
もっというと、上位か下位かの二択になります。そこでミドルクラスはどうなるの?というと中途半端で売れなくなります。現状、業界ではその現象が起きています。どのメーカーも中価格帯はラインナップとして死筋です。
オーバースペック安価帯の客層
また、年齢層によるところも大きいそうです。
これは取引先に聞いたのですが、現在釣り人口の若年層(20代半ば~30代)の釣り道具にかける費用が低調になっているようです。この年代は仕事をまかされる事が多くなり、何かと忙しい。それで仕事が忙しく趣味にお金を使えていないようです。みんなが一概にそうとは言い切れませんが、割合としては多くなっているということでした。(そういえば、昨年はあんまり釣りに、道具にお金を使っていなかったような・・・)
仕事に関してのツールを増やしたり、身の回りの物(服や生活用品)にお金を使うほうが多くなったとのこと。
そのため、趣味にかけるお金は多くはなく、安価なものでも十分であるという結論にたどり着くわけです。しかも安価なのに性能は申し分なしとなればなおさらです。
さらに、安価帯が売れている要因は他にもあります。ある程度、子育てにもそれほど手がかからなくなり、仕事でも後輩にまかせておけるようになった世代では、久しぶりに釣りを再開しようという人も出てきています。40代後半~50代前半の方が釣りを再開しようと、久しぶりにタックルを買おうとなったとき道具の進化に直面します。安価帯でも一昔前の性能が買える。じゃあこれでいいやってなりますよね?
それと、ユーチューバーの影響も安価帯が売れている要因でもあります。彼らの存在は様々な業界に影響をもたらしています。彼らをみて釣りを始めようとする初心者にとって、現状の安価帯はハイエンド機種と変わりないのですから。
もちろん、ハイエンド機種の性能の高さや質の良さは使って惚れ惚れするのは確かです。自分もかつては使っていました。でも、今となっては自分の行動範囲内での実用性があるタックルのほうがマッチしていると感じます。
釣りは趣味。遊びです。
人それぞれ楽しみ方があるので、自分のお財布やスタイルにあったものを使ったほうが喜びも倍増します。生活苦にならない程度に好きなもん使えばいいんですよ。それが高かろう安かろうは関係ありません。
ま、自分は安価タックルで満足できてしまう貧乏性なのでしょうが・・・(笑)